株式会社シベスピ 従業員ブログ

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韻を踏むということ-中編-

お疲れ様です。

夏は嫌いです。岡崎です。

今回は前回の予告通り、日本語ラップ独自の押韻技術体系を紐解くことで、
「韻を踏むということ」の本質に途中まで迫っていきたいと思います。
…どういう組み立てで話をしようとしたかもう忘れちゃったけど。

押韻の振り返り

まず、今回の話題に触れる前に、前回のおさらいを軽く。
前回は「韻を踏むってつまりどういうことなのか?」という部分と、
「日本語は従来韻を踏むことに向いていない」というお話をしました。

韻を踏む、ということは、同じ、もしくは似た響きの単語を繰り返し組み合わせて用いることで、
独特のリズム感を生み出すテクニックのことを指します。
似た響き、というのは、母音や子音において共通点が多く、さらにアクセントが似通っている単語同士を指します。
英語で言えば、「play」と「stay」なんかが上げられます。

その上で、日本語は英語と比べて母音の種類が少ない上に、母音+子音の組み合わせもなく、
韻を踏む上でバリエーションを持たせづらい、というところまでお話ししました。

では、その上で日本語ラップ界隈はどのような創意工夫で独自の技術体系を築いていったのか、という部分について触れて行きたいと思います。

日本語ラップ、最初は勿論ダサかった

元祖、日本語ラップの楽曲として、皆さんも知っている有名な曲があります。

それは、吉幾三氏の「俺ら東京さ行くだ(1984)」です。
歌詞を思い浮かべてみると、
「テレビもねぇ ラジオもねぇ 車もそれほど走ってねぇ」
と、「ねぇ」という響きを繰り返し用いることで独特のリズム感を生んでいます。
これはどちらかというと押韻というよりリフレインのような気がしますが、
まぁラップという文化は歴史が浅く(今年でHIPHOPは50周年を迎えます。わーい)、厳密な決まりはありません。
これもラップと言えばラップと言えるでしょう。

ただ、ここで問題が一つ。

……カッコよくはないね??

そうです、こんな2音の響きを小節末で繰り返しているだけではカッコよくはないのです。
(ここでいうカッコよさ、とは現代のスタイリッシュなラップ楽曲を基準にして、の話です。
吉幾三氏の楽曲がダメだと言っているわけではないのでご容赦を…)

ただ、先述したように日本語はそもそも押韻に適していない言語のため、致し方のないことではありました。
まぁこの楽曲に関してはラップをやろうとしてこの歌詞にしたわけではないと思いますが…。※要出典

しかし、これで終わる日本語ラップではありません。
いとうせいこうに始まり、様々なラッパーが日本語を用いてカッコよくラップをするために、
試行錯誤を重ねていきます。
その歴史をこの場で全て説明するにはあまりに膨大すぎる(私も知識が足りません)ので、
日本語ラップという技術の先端のみを簡潔にお伝えしていきます。

現代の日本語ラップ押韻

現代の日本語ラップでは、韻を踏みリズムを生み出すために様々な手法を用いています。
大きくその手法を分けると、4つあります(私調べ)。
それは、
①文章単位で母音を合わせる
②イントネーションやアクセントをあえて崩し、響きを似通わせる
③短い間隔で同じ母音を繰り返す
④「語感踏み」
です。

…このそれぞれの技法を説明するところまで行きたかったのですが、
あまりにも長くなりすぎてしまうのと、私自身まだまとめ切れていない部分があるので、
次回に持ち越させていただきます。
最後に、それぞれの技法を用いているラップを聞くことができる動画をご紹介させていただきます。
次回に向けて、それぞれの技法が実際にどのようなものなのか予習していただけると、次回の理解の助けになるかと思います。

①文章単位で母音を合わせる
②イントネーションやアクセントをあえて崩し、響きを似通わせる
③短い間隔で同じ母音を繰り返す
youtu.be

④「語感踏み」
youtu.be

それではまた次回(こんなに引っ張る気はなかった…)