はじめに
2024年8月5日の日経史上最大の下げ幅(史上2番目の下落率)
2024年8月6日の日経史上最大の上げ幅
このような歴史的な株の値動きとなった原因を深堀します。
※1987年(昭和62年)のブラックマンデーは世界的な暴落でしたが、今回の暴落は日本のみだったため日本版ブラックマンデーとも呼ばれます。
背景
①日銀と米の金利政策
ブラックマンデーによる暴落は日米の金利政策によるものが大きいです。
7月31日に日銀が政策金利を0~0.10%から0.25%に引き上げることを発表、一方、米では9月からの利下げ開始示唆で、8月1,2日に大きく下落したというのが流れです。
ここからさらに8月2日夜に米の雇用統計が発表、米の景気悪化懸念から米株が大きく下がったことにより、円高ドル安が強く意識され、8月5日の相場がさらに下落することが予感されました。
円高になると海外投資家の撤退や輸出企業の利益が減るため、日経は下落しやすくなります。
kabumado.jp
②中東情勢の緊迫化
中東情勢については以前から問題となっていましたが、7月下旬にも事件が起こっています。
世界の金融市場に影響し、日本でも株価が下がりやすい状況にあったと言えます。
www.nri.com
③追証(回避)売り
8月1日も大きく下落しましたが、8月2日は日経の当時史上2番目の下げ幅を記録していました。
ここまで下がると追証売りが発生するようになり、さらなる下落が予想されます。
多くの証券会社が追証発生後の解消期限日を翌営業日か翌々営業日に設定しているため、8月1,2日の下落によって、8月5日は追証売りが多く発生すると予想されていました。
また、ここまでを予想した8月5日朝の追証回避売りもあったと思われます。
④テクニカル分析によるダブルトップの形成
7月末から8月にかけての市場の流れだけでなく、それ以前からも暴落への流れはあったように思えます。
7月11日に株価が史上最高値をつけてから一転して、米利下げ・日銀利上げの思惑から株価は下げ続けていました。
8月1日時点から半年間のチャートを見れば、3月下旬の高値と併せてダブルトップが形成されているため、テクニカルで売買している人が強気に売れるような状況だったと言えます。
※株式チャートでは高値へのトライが2度失敗すると、その後は下降トレンドに入りやすいです。
www.ifinance.ne.jp
※7月12日から米利下げ、日銀利上げに向けて相場は動いていました。
www.bloomberg.co.jp
8月6日-過去最大の上げ幅-
8月6日に過去最大の上げ幅を記録した理由は株価を下げすぎていたためです。
今回の下落の原因は、①の日銀と米の金利政策を発端として起こっていましたが、①だけを切り取ってみたときに、そこまで大きな下げ幅をつけるほどの事ではありませんでした。
為替の変動はあったものの、実体経済はリーマンショックやコロナショック、震災のときほどの影響はありませんでした。
このような下げ幅になった原因は、①に追従した②③④の動きがあったためです。
大きな利幅を取るために、大口がこのような仕掛けをしたのだと考えています。
※他の暴落に比べ、株価が戻るスピードも速いです。
media.rakuten-sec.net
昭和ブラックマンデーから考える予想
数日間に大きく乱高下する仕方は、昭和ブラックマンデーと令和ブラックマンデーで似たような動きになっています。
状況も似ていて、経済に直接インパクトのある事が発生したわけではなく、複数の事象が重なって発生したもののようです。
hashang.kabuka.biz
昭和ブラックマンデーはバブルとなる過程で発生した事象です。
楽観的ですが、昭和ブラックマンデー後のチャートと似たようなものになるではと考えています。
東証はpbr1倍割れ解消に向けて対策を打っていました。
日経平均は最高値を更新しましたが、それほど全体が大きく状況が変わった印象はありません。
上がる銘柄は上がりましたが、横ばいが続いている銘柄も多い印象です。
このような令和ブラックマンデー前に市場の恩恵を受けていなかった横ばい銘柄が上昇し、市場全体の底上げができれば、昭和ブラックマンデー後のような上昇もあり得るのかと考えています。